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先日チベットへ行ってきた。私もそうであったが、一般的に日本人がチベットと聞けば、
中国のチベット自治区と理解している方が多いのではないだろうか。
確かに現在は、行政的にチベットは中国の一部であるし、
チベットと名が付くのは「チベット自治区」以外にはないのでそのように思っても仕方ない面もある。
しかし、中国に併合される以前、チベットは一つの国であった。
そしてその領土は広大でその範囲は、ラサ(チベット自治区)をはじめ、
現在の中国青海省と四川省の一部などでその昔は帝国と呼ばれるほどの強国でもあった。
しかし宗教対立などで国が弱体化し中国に付け入られるスキを与えてしまったのだろうか、
1959年以降チベットは中国の一部となってしまった。
だがチベット民族にとってのチベットは、中国ではないのだ。
民族古来の文化と生活様式を今に伝え、特に仏教においてはあえて云うまでもなく
世界宗教のひとつへと成長しつつある。
今回私が行ってきた場所は、青海省の西寧を基点に車で約30分のタル寺と山道を
約7時間かけて行くラブリン寺、そして約5時間走った所で標高二千b以上ある山間の集落。
そしてこの山間の集落こそが今回訪問の最も重要な目的だった。
さて、その目的は、
その山間にある小学校に子供達の宿舎を寄贈する調印式と打ち合わせなどのためだった。
現在、強巴林で仕事をしてもらっているチエ・デン・ブンさんの故郷の小学校へ通う子供達は、
毎日片道1時間半から2時間かけて通学しているのだが、
劣悪な通学路に加え雨や厳冬期などは一層厳しい通学環境となる。
朝は親が起きる時間よりも早く学校へ出かけ、下校時間に日が暮れるという事もしばしばだという。
学校から家までは民家も街灯もない山道を歩かなければならない。
チエさんは、そういった子供達のために、いわば寮というか寄宿舎を建てて
少しでも安心して勉強に集中できる環境を提供したいと、2年近く前から募金を募っている。
森下住職と私も僅かながら毎月協力させていただいているのだが、
しかしながら、子供たちは今現在も大変で、募金を募っても寄宿舎が建つのは何年も先という問題もあった。
仕方ないといってしまえばそれまでだが、さすがは森下住職である。
それでは忍びないと、この際まとめて寄付させて頂き、
すぐにでも子供たちが安心して寝泊りできる寄宿舎を建ててあげて下さいという事になった。
それを聞いた時チエさんはもちろん、同じように日本へ来ているチベットの仲間たちも
ありがたいと大変喜んでくれた。
森下住職は、以前ラサに娘熱 (ニャアイ) 小学校という学校の建替え資金を全額寄付された事がある。
その時も子供達の就学環境を見かねてのご決断だったが、
ご住職は、仏縁によってチベットと親しくさせて頂いているのだから、せめて子供たちには、
出来る限りの援助をしてあげたいとお思いなのだ。
チベットが以前のように独立国として復活することは、現状では殆どないと思う。
しかし民族としての誇りと気概だけは持ち続けてほしいと願っている。
今回お世話になったチエさんの家族とお友達の皆さん、そして村のみなさんに、
私達が失ってしまった日本民族としての誇りと、人を慈しみ尊び、さらにもてなしの心というものを
教えて頂いた大変ありがたい旅であった。
2007.8.30拝 瑞堂
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